今回は特別企画!小室・岡田法律事務所岡田功先生監修・脱税スペシャルだよ

こんにちは!今回は特別企画をお届けします。

題して、「パナマ文書ってなんだったの?小室・岡田法律事務所岡田功弁護士監修『租税回避』と『脱税』スペシャル」です。

ちょうど1年前、世間を騒がせたパナマ文書流出事件。
税金にまつわる事件でテレビでもネットでも話題沸騰していましたね。

「でも、結局パナマ文書流出ってどういう話だったの?」
「租税回避って法律違反じゃないんでしょ?何が問題なの?」

いまだにスッキリしない方が多いのではないでしょうか?
今回は、パナマ文書にまつわる疑問を徹底的に解明。タックスヘイブンもパナマ文書も、この記事を見れば全部わかる!
また、「節税と脱税との違い」や「脱税が刑事事件となる場合や刑事事件の流れ」もご紹介!

今回は特別に元東京地検特捜部の検事から弁護士に転身した小室・岡田法律事務所の岡田功先生に監修していただきました。
1年越しの疑問を今日こそ解明して、スッキリしちゃいましょう!

1.租税回避ってなに?脱税や節税との違いは?

そもそも租税とは税金のこと。
「租税回避」が語られる時、よく似た言葉と比較されます。

それが「節税」と「脱税」です。

この3つの概念をわかりやすく比較するとこうなります。

  • 節税=法を守って税負担を軽減すること
  • 脱税=法を犯して税負担を軽減すること
  • 租税回避=法のスキを突いて税負担を不当に軽減すること

そもそも納税は、一年ごとに生活拠点のある場所で手続きするのが普通。
租税回避は、日本より税率の低い外国で納税できるように法のスキを突いて手続きして、日本の高い税率での納税を不当に回避することをいいます。

つまり「租税回避」を簡単に言うと、「法で追及できない脱税」ってことですね。

と、言われても「租税回避」ってまだイメージがわきません…。
では、実際にあった有名な個人の「租税回避」の例を見てみましょう。

2.有名な租税回避「武富士事件」

ここでご紹介するのは、2000年に実際にあった個人の巨額の租税回避例です。

事件のあらまし

消費者金融「武富士」の会長家族間の贈与税回避にまつわる事件。

ポイント

  • 贈与税は財産をもらった人が払う税金
  • 贈与税回避のために、長男は国外に移り住んだ

経緯

  1. 日本に住む武富士前会長夫妻が、当時香港に住んでいた長男に国外財産を贈与した
  2. 東京国税局は長男に対して、この贈与について申告漏れを指摘して、約1330億円を追徴課税しようとした

裁判

  • 争点は、納税者である長男の「生活拠点」がどこにあったか
  • 高裁では長男が敗訴するも上告した最高裁では、1年の約66%を香港で生活していた長男側が勝訴
  • 長男が納付済みの約1600億円に加え、利子にあたる還付加算金約400億円を含めた約2000億円が、国から長男に還付された

ええ~! 意図して納税を免れたのに勝訴なの?! と驚いた方も多いかもしれません。
約400億円もの大金が、私たちの血税から支払われたなんてショック……。

これは、「法の根拠がないなら、税金を負担させられない」という「租税法律主義」に沿った判決でした。
この手口は法のスキを突いていたけれども、その方法を違法だと追及する法がなかったんですね。

もちろん、いまは法律も改正されて、この方法で贈与税を回避することはできなくなっています!
納税は大変だけど、住みやすい社会をつくるための国民の義務。きちんと払わないとダメですね。

3.昨年話題になったパナマ文書って結局なんだったの?

ずいぶん租税回避について、わかったような気がします。

では、昨年2016年に話題になった「パナマ文書」の一連の騒ぎは、いったいどういうことだったのでしょうか?

パナマの都心部

まずは登場する専門用語をおさらい

  • タックスヘイブン=税負担が完全免除されたり、負担はあってもとても税率の低い国や地域のこと。租税回避地。
  • オフショア=金融用語では、タックスヘイブンに資産を預けること。またはタックスヘイブンと同意味を指す。
  • モサックフォンセカ=パナマの法律事務所。
  • パナマ文書=租税回避行為に関する顧客の膨大な機密データ。モサック・フォンセカが作成。

タックスヘイブンの有名な地域は、カリブ海にあるイギリス領ケイマン諸島やバミューダ諸島。
また、アメリカのデラウェア州も世界最悪のタックスヘイブンと呼ばれています。

なぜデラウェア州が世界最悪かというと、デラウェア州の税制優遇を目的に、企業がこの州に集まり、そのため、周辺地は企業が流出して、税収が激減してしまっているからです!
デラウェア州には、人口よりも多くの企業があるとも言われています。

オフショアは、海外での取引や国内企業が外国籍になった時にも使われますね。
サーフィン用語でもあるオフショアは、「off(離れる)+shore(岸)」=「沖合」に由来しています。

「パナマ文書」と「モサック・フォンセカ」は、一時期よく聞きましたね。
もともとパナマは、伝統的に金融業が盛んで中南米でも栄えている国。
モサック・フォンセカも1977年からある老舗の法律事務所。世界中に事務所を持ち、取引先はなんと30万社以上。

顧客のほとんどがカリブのタックスヘイブンを利用していて、メインのサービスもオフショアしている個人や法人の資産管理だったとも言われています。

今回モサック・フォンセカから流出したデータは、2.6テラバイトで約45年分の顧客情報だとか。
しかも誰かがリークした、というのがもっぱらのウワサ。このデータの流出の仕方がスパイ映画のようだったので、話題になりました。
ご丁寧にYoutubeに動画まで載せちゃうほどの周到ぶりですね。

つまり、「パナマ文書の騒ぎ」をひとことで言うと、オフショアしてたリッチピープルやリッチ企業の情報を、誰かがリークして流した!ということです。

では、パナマ文書流出について、海外の人達はどう思ったのでしょうか。
Youtubeのコメント欄を訳したので見ていきましょう。

4.パナマ文書流出についてのネットにおける海外の反応

youtube

「結局、金持ちのひとり勝ちじゃん」

「麻薬や武器の密売、武装勢力など裏社会の資金源隠しに利用されているのは問題」

「海外各国政府主要人物の資産隠しはねーわ! 国民は税金ちゃんと払ってんだぞ!」

「権威あるリッチピープルは、神を演じる計略も許されるなんてね!」

「私たちはなんて腐った世界に住んでいるんだ!」

「混乱しているけど…ジャーナリストの努力を祝福するよ。英雄だ!」

「これはただの氷山の一角にすぎない。モサックフォンセカのような企業は何百とある。グローバルエリートは営業停止するべき」

出典:YouTube:”The Panama Papers: Victims of Offshore”

今回この記事では、日本人の感想を取り上げませんでした。

なぜなら、「これってやばくねwww」という、世界規模のスッパ抜きを喜ぶ反応が大部分だったからです。
もちろん、記載のあった企業や個人を非難する声もありましたが。

実は、日本でそれほどパナマ文書流出が深刻に取り沙汰されていない要因は、日本の政府要人の名前がリストになかったからだとも言われています。

海外の人たちがこれだけ怒り狂っているのは、国民からはきっちり税金を徴収しているのに、自国の政治家たちは法をすり抜けて納税を免れていたからなのです。

5.結局「租税回避」の最大の問題ってなんなの?

ここまで「租税回避」をわかりやすく解説してきました。

では、「租税回避」のなにがいちばん問題なのでしょうか?
不平等でしょうか?それもありますね。

だけど最も大きな問題は、「一部の者が納税を免れることによる税収不足のため、税率が引き上げられて他の納税者の税負担が重くなってしまうこと」だと思うのです。

毎年、年末調整や確定申告をしますよね。
ときどき税率が変わって、税負担が重くなったと感じることはありませんか?

もし、リッチピープルのオフショア分が国内に納められていたら。
……税率が引き上げられたり、社会保障が手薄で「保育園落ちた死ね」なども起こらなかったかもしれません。

でもオフショアする人だけが悪いのではありません。

たとえば、法人税や所得税の負担が大きすぎるなら、その企業や事業者が税負担を理由に他国に流出してしまわないように、抜本的な税制度改革が必要ともいえます。
政治家も企業も個人もみんなで税制について考えていかなくてはいけない時代がきているのではないでしょうか。

6.租税回避とは違う脱税って?

脱税のイメージ画像

最後に、「脱税」について見ていきます。
冒頭でもお伝えしたとおり、「脱税」は法を犯すので「犯罪」です。

「犯罪」ですので、脱税にも「行為」があります。
それでは、脱税とはどんな行為をいうのか?
ここでは、話を分かりやすくするために、法人税や所得税の場合に基づいてざっくりと説明します。

そもそも脱税とは、本来収めなければならない正しい税金を不正に免れることです。

それでは税金の額は、だれが決めるのでしょうか?

実は、収める税金の額を決めているのは、納税者本人なのです。
つまり、納税者本人が、1年間の所得を計算して税額を算出し、それを税務署に届け出ること、これを「確定申告」といいます。
この確定申告によってひとりひとりの納める税金が決められるのです。

たとえば納税者が、税金を免れたいと考えて、本来の計算上の金額よりも少ない所得と税額を書いて確定申告書を提出した場合。
こうした不正は、税務当局によって正されることになります。

このように、「虚偽過少(ゼロを含む)の所得と税額を記載した確定申告書」を税務署に提出する行為=脱税の「行為」となります。
ウソの申告書を提出した時点で脱税行為ということですね……!

もちろん、単に計算間違いや誤解により虚偽過少の申告書を提出した場合もありえます。
それまで犯罪とするのは、ちょっと厳しいですよね。

だから法律上は、「偽り又は不正」を用いた場合に限り、犯罪としての脱税行為とされています。
また、確定申告書の提出すらしない「無申告」の場合も、偽り不正が認められる場合には、同様に犯罪としての脱税行為とされています。

ではどうして脱税が発覚するの?

税務署のイメージ画像

脱税が発覚するいきさつはさまざまです。

  • 税務署の定期的な税務調査の際に発覚
  • 税務署または国税局の特別な税務調査の際に発覚
  • 内部告発によって発覚

この中でも、「税務署の調査によって発覚」というところに注目します。

事業として経済活動を行うと、年に1回、所轄の税務署に所得税や法人税の確定申告書を提出します。
すると管轄の税務署から、「申告書の内容についていろいろと確認させていただきたい」と連絡がくることがあります。
こうして税務署員によってチェックされることを、「税務調査」といいます。

「税務調査」は、数年に1度の割合で定期的に実施される調査される場合のほか、「申告書の内容に疑問がある」として、特別に調査が実施される場合もあります。
いずれも「税務調査」は、納税者側が調査に対して任意で協力するということになります。

それに対して、納税者側の任意の協力なしに、強制的に調査が行なわれることがあります。
これは、国税局の査察部(調査査察部)によって、予告なしに、かつ裁判所が発付した捜索差押許可状に基づく調査であり、査察調査と呼ばれています。

ひえ~!裁判所の文言まで出てきちゃったー!この時点で一般庶民にとっては、白目むいちゃいそうなオオゴトですね!

では仮に勤め先の企業が脱税をして、それが税務当局に発覚した場合、どのような経緯をたどるのでしょうか?

所轄の税務署や国税局による任意の税務調査の場合

税務当局が認定した税額を納税者が認める場合は、納税者が修正申告書を提出します。
そして本来納めるべきだった正しい税額との差額のほか、延滞税や過少申告加算税(隠蔽行為等が認められた場合には、ペナルティーとして重加算税が加算されます)を納税することになります。

それに対して、税務当局が認定した税額を納税者が認めない場合は、税務当局が「更正決定」を行ない、正しい税額を納付するよう命じてきます。
納税者が更正決定を認めて納税すれば終わります。

けれども争う場合には、不服申立手段として、処分庁(所轄税務署又は国税局)に対する異議申立、国税不服審判所に対する審査請求、裁判所に対する税務訴訟と、手順をたどることになります。
これらは、すべて行政処分上の話です。

気になるのは刑事事件としてどうなるのか、というところ。
実は、税務署や国税局による任意の税務調査の結果、刑事事件として告発されるケースはまれです。
脱税が刑事事件となる場合のほとんど全ては、国税局査察部(調査査察部)による査察調査が行なわれた場合なのです。

刑事事件になる場合

検察官のイメージ画像

刑事事件となる場合の手続きの流れを見ていきましょう。

  1. 査察調査(国税庁(調査)査察部による)
  2. 告発(検察官に対する)
  3. 捜査(検察官による)
  4. 起訴(検察官による)
  5. 裁判
  6. 判決
  7. 刑の執行(有罪の場合)

物々しい字面ですが、刑事事件ですから、当然ですね。

国税局査察部(調査査察部)は、日常的に脱税に関する内定調査を行なっています。
悪質と認めた事業者には、捜索差押許可状(通称「ガサ状」)に基づいて強制調査を開始します。

国税局査察部(調査査察部)は、伊丹十三監督の「マルサの女」という映画で一躍世間にも認知されるようになりましたね。
ソファの下に札束隠しているのを暴くシーンなんか、悪に鉄槌!という感じで印象的でした。

映画さながら実際も、会社や帳簿などだけではなく、脱税への関与が疑われている個人の自宅や車の中まで捜索がされることもあります。

査察部(調査査察部)では、強制調査で押収した大量の資料を分析するとともに、関係者に対する質問調査を実施します。
短いときで半年、通常は1年前後の期間をかけて入念な調査がされ、一定の証拠に基づく脱税行為の事実が認定でき、かつ脱税額(あるいはごまかした所得額)が相応に高額とされる場合、地方検察庁の検察官に告発を行ない、調査を終結させます。

ちなみに、国税局査察部(調査査察部)は、「国税犯則取締法」という特別の法律に基づいて、告発に向けた調査を行ないます。
これを「犯則調査」ともいいます。

告発後は、検察官による捜査が開始。東京、大阪、名古屋といった「特捜部」が設置されている検察庁では、告発後の捜査は、特捜部が行うのが通例です。

この記事を監修していただいている弁護士の岡田功先生は、元東京地検の特捜出身であり、多くの脱税事件を担当されています。
鬼の形相で被疑者を取り調べしていたのでしょうか。そうだとしたら恐ろしいですね~。

また、検察官の捜査では、逃亡や証拠隠滅の可能性があれば、逮捕状により逮捕されることもあります。
検察官の捜査の結果、証拠に基づく脱税行為が認定できると判断されれば、裁判所に起訴され、刑事裁判が開始されます。

有罪判決の場合、懲役に加えて罰金が課されるケースが多くなっています。
この罰金は、未納税額、延滞税、(重)加算税とはまったく別物で、脱税額の20~30%くらいになります。

脱税額が大きくなると執行猶予がつかず、実刑として刑務所に服役しなければならないのです!

ちなみに日本の刑事事件の有罪判決の確率は、約99%と言われています。
ほぼ勝てないんですよ。
だから意図して脱税なんてしちゃダメですね。

とはいっても、もしも脱税をしてしまたり、申告ミスを意図的な脱税と疑われてしまったら

そんな時こそ、心強い味方・弁護士さんの出番です。
岡田先生にうかがうと、「脱税事件の弁護は、一般の刑事事件とは異なった特殊性があり、その点を十分に理解して対応できるような弁護士さんを選びましょう」とのこと。

岡田先生は東京地検特捜部で多数の脱税事件を扱っていた経験から、検察側が意図することを予測して、より効果的な弁護・対応を心がけているとのこと。心強いですね。

7.まとめ

今回は、生活の中で理解しにくい税金に関する「租税回避」と「脱税」についてお送りしました。

納税は毎年のこと。
企業は、きちんとした税理士にチェックしてもらうのが大事ですね。
また、申告漏れなどのトラブルが起きた際、早急な対応が必要となります。
普段から相談しやすい顧問弁護士とおつきあいしておくのも大事です。

監修いただいた小室・岡田法律事務所の岡田功先生は、企業法務も得意とするところ。
企業運営でお困りのことがあればご相談されることをおすすめします。

小室・岡田法律事務所の岡田功先生、ありがとうございました!

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