国際交流の夢の船

ピースボートは、1983年に国際交流を目的として学生たちが企画し・設立したNGO、またその主要事業である船舶旅行の名称です。設立当時は東西冷戦下で、まだ国境を越えること自体が現在ほど簡単ではない時代でした。記念すべき初航海は、1983年9月2日から横浜を出航し小笠原、グアム、サイパンといったアジアの国々をまわるクルーズでした。航海を始めてから30年あまり、これまでに訪れた港は200ヵ所を超え、世界を50周以上しています。

ピースボートの大きな魅力は、なんといっても世界中の人たちとの出会いでしょう。訪れるさまざまな地域で、現地の人たちが利用者の訪問を楽しみに待ってくれています。街をあげて迎えてくれる人たち、「年中行事」として楽しみにしてくれる人たち、そして「次回」の訪問の準備をしてくれる人たち。現地NGOや学生たちとの交流、社会問題を学ぶツアーなど、今までの交流を通して培ってきた現地の方々との友好関係に支えられ、バラエティーに富んだ活動が継続されています。

そして、誰しもが「一度は行ってみたい」と思うような、想像を絶するような大自然や歴史的な建造物との出会いも船旅の楽しみです。その美しい光景が消失の危機にさらされている地域が増加している現在、環境に配慮した新たな観光のあり方も模索しています。

NGOピースボートの運営は、あらゆる企業や政党、宗教団体からも独立し、非営利でまかなわれています。また資金面でのスポンサーも持たず自主的な運営を続けています。

時を経て世界情勢は設立当時と大きく変わりましたが、ピースボートの目指すものは変わっていません。船旅を通して、国と国との関係を超えた、人と人とのつながりをつくりたい。ピースボートは、人々が絆を深め、支え合い、共感できる架け橋となるために、船を出し続けています。

砂浜に書かれたPEACE

レポートから見えてくる活動の紹介

ピースボートはこれまでの航海を通じて育んだ世界的なネットワークを活かし、独自の国際協力プロジェクトやNGOとしての提言活動をおこなってきました。

貧困や震災で苦しむ地域を訪れ日本からの支援物資を届ける「UPA国際協力プロジェクト」では、現地カウンターパートナーと協議して現地を視察、必要な物資を日本国内で募集するという流れで、物やお金を送るだけでなく現地とのコミュニケーションを大切にしながら、援助を通して自立を促す「顔の見える支援」を続けています。これまでに届けた物資は、日用品や文房具からオーケストラ用の楽器、スポーツ用品など多岐に渡ります。車いす(イラク)、カーブミラー(エリトリア)、救急車(キューバ)、トラック(ニカラグア)など大型客船の特性を最大限に活かした活動もおこなっています。

地雷埋設国で地雷除去をおこなう政府機関やNGOを支援する「ピースボート地雷廃絶キャンペーン (P-MAC)」では、1998年の発足以来、募金活動「地雷をなくそう100円キャンペーン」を展開しています。集まった募金で、地雷問題が深刻な国のひとつであるカンボジアの地雷除去を支援しています。2014年末までに19か所、延べ147万平方メートルの土地に埋められた地雷を除去し、800個以上の地雷・不発弾が処理されました。
除去後の土地は現地の人々に、小学校や保健所などとして使われています。また、地雷被害者の社会復帰を支援する現地のNGOへの支援、日本の学校などでの講演活動である「なんだろう地雷出前教室」を中心とする、さまざまな啓発活動を続けています。これまでの支援が認められ、2014年にはカンボジア王室より「カンボジア王国友好勲章」を受賞しています。

このほかにも、人口増加に伴う開発や外来種による自然破壊が進行するガラパゴス諸島での植林ボランティア「ガラパゴスの森再生プロジェクト 」、ヒロシマ・ナガサキの被爆者と航海をしながら世界各地で原爆被害の証言を実施し核廃絶のメッセージと平和の大切さを世界に届ける「おりづるプロジェクト」など、活動分野は多岐にわたります。

地球

ボランティアの強力な支え

NGOピースボートの活動には、船旅に参加することで関わることができます。そしてもっと主体的に関わりたいという方は、ボランティアスタッフというかたちで船を「出す」準備から始めることもできます。ボランティアスタッフを含む沢山のメンバーでつくり出すピースボートの船旅。みんなでアイデアを出し合い、旅をつくりあげていく作業は、ピースボートならではの特色です。
ボランティアスタッフは年齢や経験を問わずどんな方でも参加可能で、自身の都合に合わせて好きなときに好きなだけ関わることができます。活動に応じてクルーズ参加費の割引が受けられる特典も大きな魅力です。

アイデアを出し合いながらみんなで船旅をつくりあげていく体験を通じて、旅そのものが何倍も魅力的になることは間違いありません。ボランティアスタッフは、世界を舞台にした「学び」や、かけがえのない体験ができる、とっておきの場となることでしょう。

ボランティアスタッフの活動範囲はさまざまです。一例を挙げると以下のようなものがあります。ピースボートを広めるための働きかけやピースボートセンターでの事務作業、イベントの企画・運営、プロジェクト・キャンペーンの運営など他にも、船旅で世界各地に届ける援助物資の収集や仕分け、地雷廃絶キャンペーンや災害支援などさまざまなプロジェクトでの街頭募金、また被災地域の支援活動など、世界とつながるようなボランティアもあります。

波